加工事例
Processing example
- 2021-04-12
アクリルにUV印刷したキャラクターの外側をレーザーカット
今回は、前回掲載した「加工素材と加工データの位置合わせについてアドバイスします」のつづきです。
アクリル板にUV印刷したキャラクターの周りを、HAJIME で綺麗にレーザーカットして、キーホルダーを作っちゃおうという内容なのですが、前回の記事で作った原点合わせ用の「指金治具」を使って、断ち切り線(トンボ)の位置合わせを行います。
指金治具の作り方は、前回の記事をご覧いただければ作成できると思うので、HAJIME ユーザーの方はチャレンジしてみてくださいね。
UV印刷とレーザーカットの組み合わせは、実際に「HAJIME でも出来るの?」と、お問い合わせの多い内容なので、これからレーザー加工機の購入をご検討中の方も是非参考にしてみてください。
もくじ
アクリル板にUV印刷
とは言ったものの、弊社 UVプリンターを所持しておらず、悩んだ末、メイカーズラブさんにお願いし、印刷データとアクリル板を持ち込みUV印刷してもらう事になりました。
ちょうど先日、南千住から人形町に移転したばかりとの事でしたが、ご多忙中にもかかわらず、快くご協力いただきました。
ちなみに移転先の様子は、Youtube動画でもご覧いただけますよ。
オシャレで広くなった工房は、とても作業がしやすそうです。
実は以前にメイカーズラブさんのご協力のもと、Fusion360 と HAJIME で作った MDF模型の記事を連載しております。Youtube動画にもなってますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
データの作成
アクリルにUV印刷するキャラクターは、以前に「可愛いステンシルもレーザーカッターで簡単手作り」の記事で使用したキャラクターを使い回ししました。
UV印刷後に、チェーンを付ける小さい穴と、キャラクターの輪郭を HAJIME でカットします。レイヤーは、ホワイト、印刷データ、断ち切り線、切断データの4つに分けておきます。
ホワイトの裏打ち
素材に使用するアクリル板は、2mm厚の透明キャスト板を使うので、データを反転してプリントし、その上をホワイトで再プリントします。印刷面がキーホルダーの裏面にくるイメージです。
透明アクリルや、白以外の色付きアクリルを使用する場合は、ベースにホワイトを乗せないと綺麗に発色しないので注意が必要です。透明アクリルの場合は、ホワイトでフタをするイメージですね。
ちなみに今回、UV印刷で使用したプリンターは、ローランド ディー.ジー. さんの定番機種「VersaUV LEF-12i」です。
印刷可能なサイズは 305mm × 280mm とA4サイズほどですが、同機種のラインナップでは 508mm x 330mm 、770mm x 330mm の印刷可能なモデルがあります。
また、一般的なアクリル印刷の工程は、カラーとホワイトの2回工程で終了ですが、さらにクリアーインクを乗せて凹凸を作り、エンボス感を出すことも出来るようです。
詳しくは、下記 ローランド ディー.ジー. さんのホームページをご覧くださいね。
まず印刷データと断ち切り線のレイヤー以外は非表示にして、1回目の印刷を行います。
本番前に、紙をセットしてデータの上の方を少しだけ印刷。その印刷した紙の上に位置を合わせて透明アクリル板を置くと、狙った所に印刷出来るというわけです。
1回目のUV印刷スタート
準備が出来たので、早速始めましょう。オペレーションは、メイカーズラブの石丸さんにすべてお任せしちゃいました。1回目の印刷はカラープリントです。断ち切り線も忘れずに。
バッチリ、データ通り綺麗に印刷出来ました。
今更ですが、紙以外のものにも手軽に印刷できるUVプリンターは画期的ですよね。目の当たりにすると、当社にも置きたくなってしまいます。
2回目のUV印刷スタート
次は、カラープリントの上にホワイトを印刷します。印刷データのホワイトのレイヤー以外は非表示にして再プリントです。アクリル板はそのまま。動かしてはダメですよ。
無事に2回のUV印刷が終了しました。石丸さん、ご協力有難うございました。
UV印刷した断ち切り線(トンボ)に原点を合わせる
さあ、UV印刷したアクリル板を持って帰ってきました。早速 HAJIME でカットしましょう。
アクリル板をレーザーカットする場合は、標準のハニカムテーブルに直接置いて加工すると、ビームが反射してキズがついてしまうので、オプションのオフセットピンテーブル使用を推奨します。
また、前回作った指金治具は、裏面に H10mm の足を付けてください。ちょうどピンテーブルのピンの上に 2mm厚のアクリル板を置いた高さに重なるよう、治具が上にオフセットします。
HAJIME で使用するカットデータは、断ち切り線に合わせてアートボードをリサイズします。断ち切り線のレイヤーだけを選択して、上部メニューの「オブジェクト」から、「アートボード」>「選択オブジェクトに合わせる」をクリックしてください。
アートボードをリサイズしたら、カットラインのレイヤーだけを選択して HARUKA に転送。
HAJIME でレーザーカットする準備が整いました。
オフセットピンテーブルの使い方
ここで、改めてオフセットピンテーブルの使い方を詳しくご紹介しようと思います。
HAJIME に標準装備されるハニカムテーブルは、紙やゴム、布などの柔らかい物から、木材、MDF、アクリル板などの固い物までオールマイティーにセットできる汎用性の高いテーブルなのですが、アルミ製のためレーザービームを反射してしまう性質があります。
熱吸収率の高いアクリルなどの素材を切断加工すると、レーザービームの反射による影響を大きく受けてしまいます。
そこで、オプションで用意しているオフセットピンテーブルを使用すると、アクリルを宙に浮かせた状態で加工出来るので、レーザービームの反射による影響を最小限にとどめ、綺麗に加工ができるというわけです。
また弊社のピンテーブルは、HAJIME のオペレーションソフト HARUKA と連動しており、カットデータを見ながらピンを置く位置を指定できるので、カットラインを避けてピンを配置できるのが特徴です。
ソフト上で指定したピンの位置は、HAJIME のレーザーヘッドが教えてくれます。
大きいサイズのものをカットする場合は、切り抜く箇所もピンで支持することで、垂れ下がりを防ぎ、切り終わりの欠けを防止出来ます。
頻繁にアクリル板を加工される方は、是非用意しておいて間違いないと思いますよ。
位置合わせして加工スタート
と、ピンテーブルの宣伝もさせていただいたので、早速カットしていきましょう。
では指金治具を使って、アクリルに印刷した断ち切り線の位置合わせを行います。
裏面の保護シートは剥がしてくださいね。発火しやすいので危険です。
まずは、ピンの上にUV印刷したアクリルを載せて、フォーカスを合わせておきます。
10mmの足を付けた指金治具は、HAJIME の左フレームと上部の冷却ユニットにぴったり密着させてください。指金治具に断ち切り線を合わせたら加工スタートです。
順調にカットしています。位置合わせもうまくいったようです。
すべてのカットが終了。所要時間は7分11秒で24個カット出来ました。
アマゾンで買ったキーチェーンを付けて完成です。
いかがだったでしょうか。治具を作って位置合わせをしっかり行えば、HAJIME でもクオリティーの高いアクリルキーホルダーを短時間で量産する事が出来ました。
今までは外注していたような自社商品も、HAJIME を使って工夫すれば、簡単に内製化する事が出来るかもしれませんよ。
この記事を見て、HAJIME レーザー加工機にご興味が湧いたらお気軽にご相談くださいね。
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