加工事例
Processing example
- 2022-01-17
レーザー加工機で木札(千社札)を作る手順をまとめました
レーザー加工機を使った木札の作成は、ポピュラーな作例でよく見かけます。
今では手彫りで作っていらっしゃる職人さんは、圧倒的に少ないのでしょうが、手間が掛かる分貴重で、レーザー加工機で作ったものよりも商品価値があると言えるでしょう。
弊社でも、2011年に黒檀を使った木札の作成記事を紹介しておりましたが、旧型の機種を使った記事だったので、現行機種の HAJIME CL1 PLUS を使い、再編集してご紹介しようと思います。
今回は、レーザー加工機を使って木材を彫刻した場合のコゲ対策や、色入れのアレンジなど、手彫りに負けないよう少し工夫して、オリジナリティーを出す方法も試してみます。
もくじ
無地の木札の購入
木札に使われる材種については、ヒノキやヒバがナチュラルな色味で価格も安く定番なようです。ダークな感じにするには、ウォールナットや黒檀も良いかもしれません。
無地の木札の購入は、材種が豊富な下記ショップでヒノキ、ヒバ、ケヤキなどをチョイスしました。
こちらで購入した木札は、角の面取りが丁寧に施してあり、紐を通す穴も開いていました。レーザーで加工さえすれば、すぐにでも商品になりそうです。
フォントの購入
通常千社札は、個人の名前を入れるもののようですが、新年明けたばかりですので、開運の願いを込め、縁起のいい四字熟語を彫ってみようと思います。
そして千社札に使われる文字は、江戸文字の「籠文字」を使うのが “粋” なようですね。標準の Windows ではインストールされていないフォントです。ゴシック体だと、“粋” が見劣りしそうなので、思い切って購入しました。やはり雰囲気は大事ということで。
今回は買取りのできる、マール社のフォントを購入しました。最初ダイナフォントのサブスク版しか見つからなかったのですが、よくよく探したらダウンロード版が見つかりました。
データ作成
それでは早速、加工データを作っていきましょう。
木札の外形サイズでカットラインを作り、その中心に彫刻パスを位置合わせします。籠文字の背景には和柄模様も入れました。細かいデザイン彫刻はレーザー加工機の得意分野です。
当初、文字の縦横比率を1:1で作ったのですが、迫力に欠ける気がしたので、横幅を120%に拡大して横長の籠文字にしてみました。
ちなみに、使用した和柄模様のデータは、下記サイトで無料ダウンロードが出来ますよ。
木札の裏面は、弊社「オーレーザー」を無理やり漢字変換した「欧麗座亜」の籠文字を彫刻します。
加工スタート
まずは位置合わせ用に、木札の外形サイズで作ったカットラインのみを HARUKA に転送して、ハニカムテーブルに固定した紙に穴を開けます。
カットした穴に木札をセットして準備完了です。
念のため、木札の裏には両面テープを貼って、加工中動かないようにしておきました。
このとき、木札の表面をマスキングテープで養生しておくと、加工後のベタベタしたヤニ汚れを防止できます。今回は細かい和柄模様があるので、貼りませんでした。あとで剥がすのが大変なので。
また、木札は深彫りしたほうが、立体感が出て見栄えが良いので複数回彫刻すると良いでしょう。
下記の材種はヒノキで、レーザーパワー60%(24W)、ヘッドスピード30cm/sで2回彫刻してみました。大体2mmくらいの深さに彫れています。
下記の材種はケヤキで、同じくレーザーパワー60%(24W)、ヘッドスピード30cm/sで4回彫刻してみました。見え辛いのですが、こちらも2mmくらいの深さに彫れました。
ヒノキやヒバは、針葉樹で柔らかい材なので、2回の加工でも彫りの深さを十分出せますが、ケヤキ、ツゲ、ウォルナットなど広葉樹の場合は材が硬いので、3回~4回行ったほうが良いと思います。
コゲ対策
木材へのレーザー加工は、炭化によるコゲが付き物ですが、コゲを軽減する方法があります。
弊社では、アルカリ性洗剤を使って手早く水洗いを行うことが多いです。表面についたヤニのベタつきも一緒に落とせますよ。他にも、重曹や漂白剤などを使う方もいらっしゃいます。
絵筆などの柔らかいブラシを使うと、彫刻して凹んだ所も洗いやすいのでおすすめです。
終わったら、反らないように重しを乗せて乾かしましょう。
仕上げ
洗浄して乾燥まで出来たら、いよいよ最後の仕上げです。
ワックスがけ
ウッドワックスを塗って、適当なクロスで磨きます。
下記写真はヒノキ。ナチュラルな色味ですね。
下記写真はケヤキです。赤茶っぽい色味になりました。
共に艶が出て、木の風合いが戻りました。
色入れ
次は、籠文字の色入れに挑戦します。
本来は漆(うるし)を塗るのが定番ですが、せっかく HAJIME を使うのですから、色付きの素材をレーザーカットして作った籠文字を埋め込んでみましょう。
新たに、籠文字の部分を彫刻して、凹ませた木札を作りました。
赤文字にしたいので、2mm厚の赤のアクリル板を買ってきました。裏面は反射傷がついても問題なさそうなので、ハニカムテーブル直置きでカットします。
カット出来たら、裏に木工用ボンドを塗って埋め込んでいきましょう。
表の赤文字です。半透明のアクリルなので、なんだか黒っぽい感じになってしまいました。
裏の「欧麗座亜」は黒文字にしました。こちらのほうが見栄えが良い感じかな?
しかしこれだと、せっかくの深彫りが目立たない気もしますね。面も微妙に合わず気に入らないので、他の方法も試してみましょう。
次は色画用紙をカットして作った籠文字をはめて、上からUVレジンで埋めてみようと思います。UVレジンとネイル用のUVライトは amazon で購入しました。UVレジンは100均でも買えますよ。
念のため、色画用紙の裏には木のアクが染み出てこないように、あらかじめ透明の梱包テープを貼ってからレーザーカットします。明るめな色を数色選択、どの色にしようかな。
彫刻した断面が若干斜めに傾斜しているので籠文字が綺麗に収まりません。先程アクリルの面が揃わなかったのもこれが原因ですね、無理やり奥まで押し込みました。ちなみに材種はケヤキです。
籠文字を押し込んだら、UVレジンを流し込みましょう。凹みがわかるように、量は少なめにしようと思います。気泡が入ったら爪楊枝で除去してください。
あらら、やはり紙だとレジンを吸って色が変わってしまいますね、別の素材のほうが良いかもしれません。
UVライトを5分くらい照射すると完全硬化します。
こうやって見ると、彫りの深さも解り、立体感が出て良い感じではないでしょうか。色味も馴染んで悪くないような気がしてきました。
全体にもUVレジンを塗って、ヌルテカにしました。最後に飾り紐を付けて完成です。
こちらは、ノーマルな木札。左がヒノキで右がケヤキです。
こちらが色入れした木札です。
しかしUVレジンは、結構難易度高めですね。どうしても気泡が出てきてしまいます。
欧麗座亜(オーレーザー)の凹文字もいい感じです。
今回は、仕上げに少しアレンジを加えてオリジナリティーのある木札を作ってみました。
今ではよく見かけるレーザーで彫った木札も、アイデア次第でもっと商品価値を上げる事ができるかもしれません。今回の記事が少しでもヒントになれば嬉しく思います。
試行錯誤しながら、すぐ作り直せるのも卓上型レーザー加工機の良いところ。他とは違ったオリジナルのノウハウを是非見つけ出して、センス良く HAJIME を使いこなしてください。
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