加工事例
Processing example
- 2020-12-14
レーザー加工したアクリルに色入れしてネームプレートを作成
HAJIME を含む、CO2のレーザー加工において、アクリル板を使用したネームプレートの作成は、ポピュラーな加工例かと思います。しかし、うまく作れないとのお問い合わせも多くいただきます。
単に、彫刻とカットをするだけの加工であれば問題ないのですが、彫刻した箇所に塗料を入れるのに苦戦される方が多いようです。
アクリル板を加工したネームプレートの作成は以前にも紹介しているのですが、掲載していたページを再編集して改めて詳しくご紹介しようと思います。
もくじ
加工レシピ
使用した材料 | アクリル板(キャスト):白 3mm、透明 5mm ウォールナット化粧合板:4mm |
仕上がりサイズ | ネームプレート:55mm x 25mm サインプレート:180mm x 180mm |
レーザー加工時間 | ネームプレート:彫刻加工 3分、切断加工 30秒、スミ入れ 30分 サインプレート:彫刻加工 90分、切断加工 4分、組み立て 5分 |
今回はネームプレートと、サインプレートの2種類を作りたいと思います。
ネームプレートの作成
ネームプレートのデザインは、HAJIME の筐体をモチーフに作ってみました。
彫刻箇所を黒の塗りつぶし、切断ラインを赤線で作成します。
加工前の準備
白いアクリル板に彫刻して、凹んだ箇所に塗料を塗るスミ入れ方式で作成します。
使用する塗料は、100均で購入したアクリル絵の具です。水性ですが乾くと耐水性に変わります。ラッカー系などの油性塗料はアクリルにヒビのような傷が入ってしまうので、アクリル系の水性塗料がおすすめです。
そのまま彫刻すると、気化した煙が表面に付着し曇ったような仕上がりになるので、マスキングテープを使い養生する必要があります。
裏面も、レーザーの反射でキズが付かないように、オプションのオフセットピンテーブルを使用し、テーブルから浮かせて加工します。
なお、裏面は養生すると発火しやすくなるので貼らない方が安全です。
ちなみに、アクリル板に最初から貼ってある保護シートにはビニール層があり、そのまま加工すると溶けたような跡がつく場合があります。マスキングテープで養生し直した方が綺麗に仕上がります。
加工スタート
準備が出来たので、早速加工していきましょう。
塗料が入りやすいように、強めのレーザーパワーで深く彫刻するのがコツです。
加工が完了したらマスキングテープを剥がして、塗料が乗りやすいように彫刻カスを中性洗剤で洗いましょう。
塗装(スミ入れ)
それではスミ入れを行っていきます。塗り残しやムラが発生しないように数回に分けて塗装します。
塗る際は、底面だけではなく側面にも塗料が乗るように意識して塗ってください。
側面を意識せずに底面のみ塗装をすると、図のような塗りムラが発生します。
側面にもしっかり塗料を乗せることで、輪郭がはっきりして綺麗に仕上がります。
拭き取り
塗料が乾燥したら、アルコールを含ませたティッシュや綿棒を使い、はみ出た部分を拭き取ります。このスミ入れから拭き取りまでの作業を、2~3回繰り返してください。
アルコールは IPA などのアルコール濃度が高いものを使用すると、表面にヒビが入る恐れがあるので、使用する際は水で希釈し濃度を調整します。
墨入れ完了
苦労して、スミ入れと拭き取りを繰り返した甲斐もあり、綺麗に仕上がりました。
定規を並べると、文字の大きさが分かります。
小さい文字にもしっかりスミ入れできました。『営業部』の文字の大きさは、実寸で3.2mm角です。
最後に胸に着けられるよう、市販のクリップを付けたら完成です。
ネームプレート完成
実際に付けてみました。いかがでしょうか。
ついでに社員全員の分も作りました。展示会などのイベントで使ってみようと思います。
サインプレートの作成
サインプレートもネームプレートと同じく、彫刻箇所を黒の塗りつぶし、切断ラインを赤線で作成します。ピクトグラムを使って分かりやすくイメージできるデザインを意識して作りました。
ちなみにピクトグラムは、無料で利用できるこちらのサイトのものを使わせていただきました。ありがとうございます!
応接室の他にも事務所、見学室も同じサイズで作ります。
イメージ通りのデータが作れました。
加工前の準備
サインプレートは5mm厚の透明アクリルに反転させたデータを彫刻し、ウォールナットの化粧合板と重ねて作ろうと思います。
ネームプレートと同様に、マスキングテープで気化したガスが付着しないよう養生します。
外形サイズが大きいので、テープを綺麗に並べて貼る必要があります。極力隙間を開けず、また重ならないようにぴったり貼ってください。
こちらもオプションのピンテーブルを使って、レーザーの反射を回避します。カットライン内側 180mm x 180mm で抜く下にもピンを置き、加工後下に落ちないように支えました。
加工スタート
準備が整いました。それでは加工していきましょう。
使用するアクリルはキャスト板を使用します。押出し板は彫刻箇所が白くならないので注意してください。レーザーパワーは20%(8W 前後)で速度を落として行ってみました。
加工はネームプレートよりも時間が掛かります。180mm x 180mm の大きさを1スキップ(1000dpi)で低速彫刻し、90分ほど掛かりました。
終わったらマスキングテープを剥がし、彫刻カスを中性洗剤で洗っておきましょう。
続いて同じサイズで 4mm厚の化粧合板をカットします。合板は養生無しで加工しました。
こちらはカットだけなので、1分ほどで終わります。
彫刻したアクリルをひっくり返して、化粧合板を重ねてみると・・・
ウォールナットの木目の色が明るく、重ねたアクリルの彫刻が目立たない気もします。もう少し、木目の色が黒っぽいほうが、メリハリが出てかっこよくなりそうです。
ネームプレートで使った黒の絵の具が余っているので、色味を黒くしてみようと思います。木目は生かしたいので、適度に薄めて雑に塗っていきます。
水を多く含ませたティッシュで塗料を伸ばし、そのまま薄く塗り重ねていきます。スポンジを使った方が綺麗に仕上がるかもしれません。
塗りムラも味があって、いい雰囲気が出ました。
乾いたら、仕上げにウッドワックスを塗って、木目に艶を出します。初めて木材用のワックスを使用しましたが、いい匂いがして癒やされました。
艶が出て自然な仕上がりになりました。
塗る前のものと並べて比較すると落ち着いた仕上がりになったと思います。
では残りの「見学室」と「事務所」のサインプレートも作ってしまいましょう。
サインプレート完成
黒くした化粧合板とアクリルを、アマゾンで買った化粧ビスで四隅を固定すると完成です。
重ねる前に、アクリルに付いた指紋などは掃除しておいてください。
付属していた木ネジは、M4x20 の皿ビスとナットに変更して取付ました。
完成品がこちら。うまくできたので飾る準備をしましょう!
セリアで買ったフックを使用して、壁に取り付けます。両面テープ付だったので、簡単に飾ることができました。
このサインプレートはウォールナットの化粧合板と重ねる方法で作成しましたが、写真彫刻をした透明アクリルと組み合わせても良い雰囲気が出ると思います。
私が個人的に作るなら、飼っている猫の写真で自室のプレートを作りたいです!
いかがだったでしょうか。
アクリル板を使用したネームプレートやサインプレートの作成は、CO2レーザー加工機を導入したら、まず最初にやりたくなる加工ではないかと思います。
今回の記事を参考にしていただければ簡単に作成できると思うので、是非チャレンジしてみてくださいね。
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