加工事例
Processing example
- 2025-05-15
Solidworks の3Dデータからレーザー加工用の2Dデータを作成
みなさまご無沙汰しております、お久しぶりの投稿です。そろそろ更新しなくては、といつも思っていたのですが、あっという間に月日が経っておりました。

近年、製品のプロトタイプ設計において、3D CAD の利用は一般的になっています。
今回は、メカトロニクス分野でよく使われている Solidworks の 3D CAD から、レーザー加工用の 2D データを作成する方法を、詳しく紹介しようと思います。
と言いますのも、Solidworks の 3D データから、レーザー加工用の 2D データを作成する手順が割と面倒だったので、備忘録的な意味も込めて記事に残します。
以前「DXF データから Arduino Leonardo ケースを作成する方法」を紹介した事があり、一部内容が重複してますが、ご容赦いただけましたら幸いです。
DX 教育推進の気運も高まっているので、具体的な手順を紹介する事で、授業にレーザー加工機を導入し易くなるのではとも思ってます。先生方のご参考になれば嬉しいです。
もくじ
Solidworks で部品アセンブリを開く
製品の例として、前回の記事と同様 Arduino Leonardo ケースのデータを使用します。
まずは、Solidworks でアセンブリのデータを用意します。
今回のような基板ケースを製作する場合、すべてのパーツを1つの部品データファイルに保存するのではなく、アセンブリで作成する必要があります。
取り急ぎ SolidWorks でアセンブリを作成する方法は割愛させていただき、すでに完成済のデータを例として、操作手順を解説していこうと思います。

使用している素材は 2mm 厚の透明アクリルとなっています。

全部で6枚のパーツ構成です。
後ほど 2D の図面にインポートする際、部品データが開いている状態を保持する必要があるので、まずはレーザーカットしたい全ての部品を開きます。


部品を選択すると、ウインドウが表示されるので「部品を開く」をクリックし、ドキュメントを展開します。
図面を新規作成する
続いて、新規作成のアイコンから「図面」を新規作成します。


図面を新規作成する場合は、用紙サイズを決める必要があります。
例えば今回の基板のケースは全部で6枚のパーツとなりますが、すべて並べても A4 サイズに十分収まるようなので、標準シートではなく、ユーザー定義シートサイズで A4 横方向(297 × 210 mm)を手動で入力し、設定してみました。

用紙サイズの設定が完了したら OK ボタンをクリックします。
図面を新規作成するとともに、モデルプレビューの候補が表示されますが、今回は通常の図面ではなくレーザー加工専用の図面を作成したいので、一旦「×」をクリックしてモデルプレビューをキャンセルします。

図面の新規作成が完了すると、空の図面シートが表示されます。
切断線レイヤーを設定する
SolidWorks で図面を作成する場合、デフォルトでは黒線で出力されますが、HAJIME レーザー加工機の制御ソフト HARUKA では、切断線を赤色にする必要があります。
まず最初に、赤線のレイヤーを作成しておきましょう。
繰り返し使うので、切断レイヤーの編集ツールバーを表示させておきます。

メニューバーの「表示」→「ツールバー」→「線属性の変更」をクリックし、レイヤー変更のツールバーを表示します。
表示されたレイヤー変更ツールバーの2つ目アイコンの「レイヤープロパティ」をクリックし、レイヤーウインドウを表示します。

ここで右側にあるボタンの「新規」をクリックして、任意の名称(例:HAJIME CUT)のレイヤーを作成します。
また、色の部分をクリックし、表示された「色の設定」画面で赤色を選択してください。

これで HAJIME で使用するための、赤色の切断線レイヤーの作成が完了しました。
加工データを配置する
それでは、実際に切断データを図面に配置していきましょう。
図面に部品の投影を配置する方法はいくつかありますが、プレビュー画面右側ツールバーの中の「パレット表示」を使用すれば分かりやすいですので、「パレット表示」のアイコンをクリックして、「パレットパネル」を表示します。
続いて、プルダウンリストをクリックして、部品を一つ選びます。


表示されたビューの中、レーザー切断に必要なビューを選び、ドラッグしながら図面の好きな場所にドロップします。

図面シートにドラッグしたビューは、まだデフォルトのままで、レーザー加工用の切断モードに適した「赤線」になっていません。
配置された部品を赤線に変更する必要があるので、レイヤーツールバーの「レイヤー変更」アイコンをクリックして、先ほど新規作成したオリジナルレイヤー(例:HAJIME CUT)に変更してください。


レイヤーを変更したら、図面上の部品も赤色の切断線に変わります。

ここからは同じ作業を繰り返して、残りの部品も配置しすべて「赤線」変更します。

一つ注意点があり、Solidworks で配置した穴の形状には十字のマークがついています。
この十字マークは切断する必要がないので、マークだけ選択して削除します。


A4 のシートに配置してみたところ、半分以上まだ空いていることがわかりました。
一回の加工でもう1セットを加工できるように、コピーして2セットにしてみました。

加工データに保存
これで切断用のデータ作成が完了しました。
次に HAJIME の制御ソフト HARUKA で開くための手順を説明します。
Solidworks から出力できる図面のファイル形式の中で、HARUKA が直接開けるのは、”.ai” “.pdf” “.dxf” の3種類です。
AI、PDF 形式のファイルはアートボードの概念があり、Solidworks で作成したシートのサイズがドキュメントサイズとして認識されます。
例えば、A4サイズ(297 × 210mm)の図面を作成した場合、制御ソフト HARUKA では、このA4サイズのアートボードをアクリル素材の大きさとして認識し、切断オブジェクトのアートボードに対する相対位置も、正しく認識されます。

しかしながら、DXF ファイルは CAD 形式のもので、ファイルにアートボードの概念がありません。
そのため DXF ファイルを HARUKA で開く場合、すべての加工対象オブジェクトを囲む枠(バウンディングボックス)がアートボードサイズ(素材のサイズ)として認識されます。

つまり、オブジェクトを配置した外周に、空白がない状態となります。ご承知ください。
レーザー加工
それでは加工データを HARUKA で開いたら、レーザー加工機に A4 サイズの 2mm 厚アクリルをセットしましょう。
HARUKA パラメーターのプルダウンメニューから、加工素材の「アクリル 2mm」を選択し、加工開始位置を設定して加工を開始します。

約 7 分かかってレーザー加工が完了しました。
レーザー加工機から必要なパーツを取り出し、切りカスを取り除きます。

Arduino Leonardo 基板とビスで組み立てると、3D データ通りの仕上がりとなりました。



まとめ
いかがだったでしょうか。
Solidworks は 3D の CAD ですが、2D の図面作成機能が標準装備されています。
図形レイヤーを変更することで、レーザー加工用の 2D データを、簡単に作れる事がお解りいただけたと思います。
3D CAD は SolidWorks に限らず、Fusion、Inventor、Creo、NX など様々なタイプがありますが、最終的にベクターデータに保存することができればレーザー加工が可能です。
もし HARUKA の加工データ作成について、ご不明点やご質問などがございましたら、お気軽にオーレーザーまで、お問い合わせください。
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