加工事例
Processing example
- 2021-05-13
写真データをレーザー加工用のデータにするときの注意点とは
HAJIME を購入されたユーザーの方から、「写真の彫刻がうまく出来ない」とお問い合わせをいただく事があります。
おおよその方が、低解像度で入手された画像をそのままのサイズで出力しており、ジャギーが出てしまっている事が原因の場合が多いです。

そこで今回は、写真をレーザー加工用のモノクロ2階調に変換する時の注意点を、詳しくアドバイスさせていただこうと思います。
もくじ
ピクセルとdpi(解像度)について
画像データについては、まずピクセルとdpi(解像度)の関係について理解しなくてはなりません。私も詳しく無いので、この記事を書きながら勉強しました。
ピクセルとは
写真のデータは、色がついた細かい点の集まりという事は、皆さんご存じだと思います。その点々の単位が「ピクセル」と言われています。

また、テレビの性能を表すのに画素という言葉が使われますが、この画素というのも「ピクセル」を指しています。(ディスプレイの画素は赤緑青3つの点を1つにまとめたものがピクセル)
最近のテレビの画質は、
4K(ウルトラハイビジョン):3860 × 2140 ピクセル
8K(スーバーハイビジョン):7680 × 4320 ピクセル
といった高画質が主流。まさに写真が動いているようなものですね。
つまり、画素数が多いということは、その分ピクセルがたくさん集まっていることとなり、大画面でもピクセルの粗さが目立たないため、画質が高いということになります。
今では、8Kで60インチのテレビが20万円ほどで買えるんですから、時代は進んでます。
dpi(解像度)とは

しかし8Kでも、映画館のスクリーンくらいに超巨大な画面だったとすると、近くで見たらピクセルの粗さが目立つはずです。
そこで、ピクセルを物理的な大きさで表現したいときに使われるのがdpi(=ppi)です。
dpiとは1インチ(2.54cm)にどれだけ点が含まれているかを表す単位で、dpiの数値が大きいほど解像度が高くなり、ピクセルがたくさん含まれることになります。
例えば、720 x 480 で 72dpi の写真データを例にすると、1ピクセルの大きさは、0.3527mmとなり、画像全体の物理寸法は、253.99mm x 169.33mm となります。
その写真データを、そのままのサイズでモノクロ2階調に変換し、レーザーで加工すると、輪郭がギザギザ(ジャギー)になったり、細部のディテールが失われ、ぼやけた仕上がりになり易いです。
HAJIME に最適な解像度
*実際にレーザービームを素材に照射すると、熱の影響で素材に残る焦点サイズは大きくなります。

先ほどの 720 x 480 72dpi の元データでも、300dpi で再出力してサイズを縮小すれば、多少ジャギーを軽減する事ができます。(もちろん元データが高画質の方が良いのは言うまでもありません)
写真データをモノクロ2階調に変換する
以前の記事「透明アクリル板に写真をレーザーで彫刻しました」では、PhotoGrav(フォトグラブ)という専用の変換ソフトを使用しましたが、今回は一般的な Adobe Photoshop を使用した手順を紹介しようと思います。
モノクロ2階調とは
モノクロ2階調のデータは、白と黒の2色の色分けで出力されるデータで、明暗は黒い点々の密集度合で濃さ(グラデーション)を表現します。新聞に印刷された画像広告は、正に2階調ですよね。
HAJIME は彫刻時に、黒色の個所をレーザーON、白色の個所をレーザーOFFと認識するので、白と黒2色の2階調はデータ通りに加工できるというわけです。ちなみにグレーの認識は出来ないので、グレースケールのデータは使えません。
Adobe Photoshop でモノクロ2階調に変換する
モノクロ2階調の変換手順は様々あると思いますが、弊社が推奨する方法は以下の手順となります。ご参考下さい。
1.元データの用意
元データの画像は、なるべく高解像度(300dpi以上)のものを用意してください。解像度はファイルを選択して、右クリック→プロパティ「詳細」から確認できます。

ちなみに今回のサンプルで使用したワンちゃんの写真は「ぱくたそ」さんでダウンロードさせていただきました。
2.リサイズ
それではダウンロードした高画像の元データを Adobe Photoshop で開きましょう。
まずは、上部メニューの「イメージ > 画像解像度」をクリックして、出力するサイズを決めます。単位を「mm」にしてリサイズしましょう。今回は、100 x 150mm にリサイズしました。*解像度が低い場合は、この段階で 300dpi で再出力してください。(300dpi以上の場合はそのままでOK。)
*元画像と同じピクセル数で解像度を上げて縮小出力すると画像劣化を防げます。

3.グレースケールに変換
次に、リサイズした元画像をグレースケールに変換します。上部メニューの「イメージ > モード > グレースケール」を選択して、カラー情報「破棄」をクリックしてください。

4.色調補正
グレースケールに変換したら「イメージ > 色調補正 > レベル補正」で明るさを調整します。
写真をレーザーで彫刻する場合は、彫刻箇所(黒色)が潰れがちなので、全体的に明るめが良いと思います。コントラストを上げすぎると、中間色が飛んでしまい繊細な表現が出来ないので、明るくしつつも白ベタが多くならないようにしてください。(イラスト風に仕上げたい時は、逆にコントラストを上げた方が良い場合もあります。)

入力レベルの真ん中にある「▲」を左に動かすと、全体的に明るくなります。(両端の△を内側に動かすとコントラストが上がります。)
特に色調補正が必要なければ、ここは飛ばしても大丈夫です。
5.モノクロ2階調に変換
前準備が終わったので、モノクロ2階調に変換しましょう。上部メニューの「イメージ > モード > モノクロ2階調」を選択して、設定画面を開きます。

解像度は、先ほどリサイズしたときに再出力した同じ数値(300dpi)にしてください。種類は「ハーフスクリーントーン」を選択して「OK」をクリックします。

次は線数でドットの大きさを調整します。大体80くらいを目安にすると良いでしょう。
角度は「45度」、網点形状は「円」で「OK」をクリックしてください。

加工する素材によっては、彫刻箇所を白く表現したい場合があります。(透明アクリルや御影石など。)その場合は、上部メニューの「イメージ > 色調補正 > 階調の反転」をクリックして白黒を反転してください。また、表裏の反転をしたい場合は「イメージ > 画像の回転 > カンバスを左右に反転」をクリックします。
すべての変換が終わったら、「ファイル > 別名で保存」からBMP形式の1bitで保存してください。

テスト加工
本加工をする前に、あらかじめ線数の違うデータを何種類か彫刻し、仕上がりを確認しておくと良いでしょう。なお、写真彫刻は保護シートやマスキングテープが素材に貼ってあると、細かいドットが綺麗に彫刻できないので必ず剥がしてから加工してください。

加工中に熱で素材が反らないよう、端にウエイト(文鎮)を置いてます。
今回はサンプルとして、シナベニア4mm とアクリル(キャスト)2mmに加工しました。

ベニア板は熱で反りやすいので、加工毎にフォーカスを合わせ直します。
ベニア板はいっぺんに広範囲への加工をすると、素材が反りフォーカスがずれる恐れがあるので、データを分割して加工毎に都度フォーカスを合わせ直しました。
線数の違いによる仕上がりの差は、以下の様な見た目になります。
シナベニアの場合


アクリルの場合


私感ですが、Photoshop を使った2階調変換の場合、シナベニアは線数80~120、アクリルは線数200が白黒のバランスが良く、明暗が一番ハッキリして綺麗な気がしました。線数の調整で、仕上がりの雰囲気も変わるので、色々と挑戦してみてください。
いかがだったでしょうか。
写真彫刻は、高画質からの2階調変換が重要です。写真自体のイメージや、素材の風合いにより線数の調整を行えば、より魅力的な完成度の高い作品になると思います。是非参考にしてみてくださいね。
それでは次回もお楽しみに。
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