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- 2023-06-20
ヒートシンクフィルターの目詰まりと水温上昇について検証してみました
みなさまこんにちは。
埼玉も梅雨入りし、天気が不安定になっていますね。
ガラス管のレーザー発振器を搭載する HAJIME は、冷却水の温度が上がるとレーザーの出力が下がったり、安全装置が働き加工が出来なくなったりしてしまうので、私たちの体調管理と同様に、水温管理には気を付ける必要があります。
現行機種の HAJIME CL1 PLUS は、温度管理型のペルチェ式自動冷却システムを搭載しているので、夏でも外気温の影響を受けず水温が上がりにくいはずなのですが、「水温が高くなって加工ができない!」というお問合せをいただくことがあります。
このような時は、まずフィルターが詰まっていないかチェックをしてみて下さい。
ヒートシンクフィルターについて
ペルチェ式自動冷却システムに内蔵しているヒートシンクは、冷却水を冷やすために熱くなったペルチェ素子の熱を放熱する役割があるのですが、汚れが付着するのを防止するためにフィルターを付けています。このフィルターが目詰まりすると、当然ですがヒートシンクが冷却されず水温が上がりやすくなります。
実際にフィルターが目詰まりをすると、どれくらい水温が上がるのか、特にフィルターが目詰まりしやすい MDF の加工で検証をしてみました。
MDF の連続彫刻という過酷な条件ですが、HAJIME には頑張ってもらいましょう。
検証開始
彫刻速度 :30cm/s
加工方法 :10 x 15cmの一面に彫刻。終了後すぐに再スタートを繰り返す。
ヒートシンクフィルターは新品の状態です。それでは、加工スタート。
23℃付近で安定した水温をキープしていましたが、連続稼働が2時間ほどになると、ヒートシンクの温度が一気に上がってきました。そろそろ目詰まりしてきたようです。
ヒートシンクの温度が65℃になると、下記の警告ウインドウが出ます。構わず「はい」をクリックして続行しますが・・・
さらに、水温も同様に上がってきます。
70℃に到達すると、強制終了のウインドウが出て電源が落ちてしまいました。
ヒートシンクが冷えるまで HAJIME を休止していると、ヒートシンクの熱が徐々に冷却水に移動していき、水温が30℃を越えてきました。
ヒートシンクは54℃まで下がったのですが、水温は逆に46℃まで上がってしまいました。
すると、今度は水温の警告ウインドウが出て、加工できなくなりました。水温が下がるまで、もうしばらく小休止が必要です。
ヒートシンクフィルターが目詰まりすると、このような流れで加工ができなくなります。15分単位でデータも取りましたので下記に公開しておきます。
ステータス | 経過時間 | 冷却水温度 | ヒートシンク温度 | 室温 |
正常 | 0:00 | 24.1 | 23.7 | 24.2 |
正常 | 0:15 | 19.3 | 31.7 | 24.5 |
正常 | 0:30 | 20.8 | 29.4 | 24.3 |
正常 | 0:45 | 19.5 | 37.8 | 24.0 |
正常 | 1:00 | 17.8 | 44.0 | 24.2 |
正常 | 1:15 | 20.2 | 44.1 | 24.1 |
正常 | 1:30 | 18.2 | 38.3 | 24.0 |
正常 | 1:45 | 18.7 | 43.5 | 24.1 |
煙がたまる | 2:00 | 21.8 | 42.0 | 24.0 |
警告 | 2:15 | 20.9 | 63.8 | 24.3 |
強制終了 | 2:20 | 24.6 | 70.3 | 24.2 |
ヒートシンクフィルターの目詰まりは、目視でも解りやすいと思いますので、加工の合間にこまめにクリーニングして頂くようお願いいたします。(水洗い可能です。)
集じん機 MIRUKU のフィルターについて
ヒートシンクフィルターをクリーニングしても水温が下がらない場合は、集じん機 MIRUKU のフィルターが目詰りを起こしている可能性が高いです。
集じん機のフィルターが目詰まりを起こすと、ヒートシンクフィルターが綺麗でも、空気の流れが弱いので、上記と同様にオーバーヒート状態になり易くなります。
上の写真は、今回の2時間の検証で汚れた MIRUKU のプレフィルターと2次フィルターです。まだ目詰まりはしてませんが、結構汚れています。
プレフィルターと2次フィルターは、早めに交換していただいたほうが、下のフィルター(活性炭フィルター・HEPAフィルター)が傷まないので、交換しても良さそうです。
MIRUKU フィルター交換目安
MIRUKU のメンテナンス方法については、下記の資料もご参考ください。
MIRUKU メンテナンスマニュアル
いかがだったでしょうか。
今回は、フィルターが目詰まりを起こすことで、水温がどのように変化していくかを検証しましたが、ガラス管発振器の HAJIME でも、2時間の連続加工が出来た事、またヒートシンクの熱移動で水温が上がっていく事が、思いがけない発見でした。
安定した加工をするなら、まずはフィルターのチェックを忘れずに。フィルターと水温は密な関係性なのです。
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