加工事例
Processing example
- 2022-05-16
超細かい道路地図をレーザーカットしてマップアートを作ろう
地図を見ると萌える、いわゆる地図オタクの方って世の中に結構いらっしゃるのでしょうか。
ベニア板に市街地の地図を、レーザーカットしたマップアートが、何年か前に Kickstarter で話題になっていたのを先日発見しました。

レーザーでの加工品に限らず、ニューヨークやロンドンなどのマップアートは、ネットでよく見かける気がするのですが、弊社所在地でもある埼玉県川越市のマップアートを作った方はいらっしゃるのでしょうか・・・。
恐らく居ないでしょうね、でわでわ HAJIME で作ってみましょうか。
もくじ
データ作成
今回のマップアート、レーザー加工機の精密さを表現できる良い加工例だと思ったんですよ。まだ HAJIME で作った事が無いので、この機会に挑戦してみようと思います。
先程の CityWood と同じように、レイヤーを積層して奥行き感を出したいので、3層レイヤーの組み合わせで道路、線路、水辺を別パーツで張り合わせて、地図の中心がオーレーザーになるように作成します。
マップデータの入手
それでは早速、マップデータを手に入れましょう。
SNAZZY MAPS ってご存知でしょうか。Web業界では知られているらしいのですが、Google Map を好みのデザインにカスタマイズ、画像データ(png)を出力できるジェネレーターです。
HAJIME 用の切断データはベクターデータが必要になるので、道路、線路、水辺の画像データを Adobe Illustrator でトレースしなくてはなりません。トレースし易くするために、SNAZZY MAPS で Google Map をカスタマイズしてみようと思います。
SNAZZY MAPS の使い方
SNAZZY MAPS でやりたい事をまとめると、道路、線路、水辺以外の表示はすべて非表示にし、イラレでトレースし易くするため、それぞれ黒のベタ塗りにします。また、3層のレイヤーで使用できるよう、それぞれ単一で同じ座標の画像ファイル、3つに分け出力します。
SNAZZY MAPS は英語で解りずらいかもしれませんので、詳しく説明しますね。
まずは、会員登録しないと画像ファイルをダウンロード出来ないので、①の「Register」をクリックして会員登録を済ませてください。メールアドレスがあれば登録できます。

会員登録が出来たらログインし直して、②の「CREATE A STYLE」をクリック。
すると、下記画面になります。最初、右の地図がニューヨークになっていると思うので、③のメガネアイコンをクリックして表示したい地域を検索してください。日本語入力でOK。

好みの地域が表示出来たら、マウスをスクロール&ドラッグして、地図の表示倍率と座標位置を調整します。
調整が終わったら、④の「APPLY STYLE」をクリックし、次に進んでください。
地域名を非表示にする
すると、下記編集画面が出てきます。まずは、Administrative > All > VISIBILITY → off を選択。ここで、国、県、市町村名などの地域名を非表示に出来ます。

土地の色分けを非表示にする
次に、Landscape > All > Custom color を開いて、白(#ffffff)を選択。土地、建造物などの色分けを、すべて白にしてください。

更に、Landscape > Labels > VISIBILITY → off を選択、ラベルを非表示に。

スポット名を非表示にする
次は、施設や学校、店舗などのスポット名とピン を非表示にします。
Point of interest > All > VISIBILITY → off を選択してください。

道路を黒色にする
いよいよ道路の編集です。
Road > All > Custom color を開いて黒(#000000)を選択します。

更に、Road > Labels > VISIBILITY → off を選択、道路に付随するラベルを非表示に。

線路を非表示にする
今回は、道路のみを抽出するので、線路と水辺は非表示にします。
Transit > All > VISIBILITY → off を選択。

水辺を非表示にする
Water > All > VISIBILITY → off を選択。

ここまでのカスタマイズで、道路のみ抽出が出来ました。
データをダウンロードしてみましょう。
ダウンロード
縦に並んでいる、⑤のアイコンをクリックすると、ダウンロード画面になります。
イラレで画像トレースする際は、元画像の解像度が高いほど綺麗にトレースできるので、最大の大きさでダウンロードしましょう。⑥のサイズを 1000 x 1000px に、⑦のスケールを 3x にします。⑧をクリックしてダウンロードしてください。

これで、道路のみを抽出した画像ファイル(png)が入手出来ました。線路と水辺についても、道路を黒くしたのと同様に操作し、それぞれ個々の画像ファイルをダウンロードしてください。
これで、道路のみを抽出した画像ファイル(png)が入手出来ました。線路と水辺についても、道路を黒くしたのと同様に操作し、それぞれ個々の画像ファイルをダウンロードしてください。
Adobe Illustrator で画像トレース
それではダウンロードした画像ファイルを、Adobe Illustrator でトレースしてベクターデータに変換します。地図の外周サイズは購入したボックスフレームの内径 289 x 202mm に合わせてアートボードを作ります。
道路、線路、水辺の画像ファイルをアートボードに貼り付け、3つがズレないようにピッタリ重ねて若干縮小。ピンの座標が中央やや下くらいになるよう位置合わせが終わったら、道路の画像ファイルを選択、「ウインドウ > 画像トレース」をクリックしてください。

画像トレースの詳細設定を、下記を参考に「しきい値:128、パス:100%、コーナー:100%、ノイズ:1px、」、オプションの「ホワイトを無視」にチェックを入れ、トレースをクリック。
※しきい値を変更することで、黒塗りの太さを調整出来ます。

トレースが終わったら、上部の「拡張」をクリックするとパスに変換出来ます。

線路、水辺の画像ファイルも同様に、パスに変換しましょう。
レーザーカット後の強度も考えて、外周に1cmの余白を追加しておきました。パスファインダーの型抜きや合体を駆使して頑張りましょう。また、小さすぎたり、閉じたパスの中にある、いらないパスのお掃除も見える範囲でしておきます。
道路のパスは、アンカーの数が多くかなり重くなっているので、パスの単純化を行い、アンカーを少なくし、なるべく軽くしておくのもポイントです。

加工素材
今回は、各地図のレイヤーごとに色を分けたかったので、色画用紙を素材にレーザーカットしようと思います。価格も安いので、失敗を恐れずチャレンジ出来ます。
実はベニア板をこの細かさにカットするのは、HAJIME のレーザーパワーだと困難なのです。100W以上のハイパワーで、高速カットしてあげないと、カットライン周辺に熱影響を多く与えてしまう事となり、パスの密集している所が真っ黒コゲになってしまうからです。
レーザー加工開始
それでは、イラレでトレースしたカットデータを HARUKA に取り込みます。
HARUKA にデータを取り込む際は、切断順番最適化をオフ(チェックを外す)にしてからファイルを開いてください。道路地図の超細かいパスを HARUKA でカットソートすると、ものすごく時間が掛かってしまいます。今回のマップアートはソート無しでカットしても問題ありませんよ。

ちなみにカットする地図パーツは、下図の様な構成で組み立てます。

では改めて、HARUKA にデータを取り込みましょう。重いデータなので、カットソートOFFでも2~3分掛かります。

加工スタート。
何回かテスト加工を行い最適なレーザーパワーとヘッドスピードを探ります。

オーバーパワーだと細い道路がコゲ落ちてしまったので、パラメーターを再調整。
また、イラレの画像トレースで道路が太くなるように、しきい値を変えて何度かデータを作り変えました。
やれやれ、結構面倒くさい事になってます。
最後に「加工エリア切断」をクリックして、アートボードの外周をカット。
いかがでしょうか、このくらいの細かさにカット出来ました、加工時間は44分55秒。
パラメーターは、レーザーパワー:5%、スピード:20mm/s でございます。

レーザーカット後は、カス取りです。細かくて大変ですが、カッターを使って地道に頑張りましょう。

残りの水辺と線路のレイヤーは、数分でレーザーカット終了。
これで地図のパーツは揃いました。

あとは、構成図にあった地図レイヤーを浮かせるスペーサーをカットします。素材は得意のウレタンフォーム。以前、買いすぎてしまったので売るほど余っておりまして。

両面テープを使って重ね貼り。全て重ねた時の厚さが 30mmくらいになるようにしてます。

ズレないように貼るのは、なかなかに難易度高いです。オーレーザーの位置が微妙にズレてしまったのは内緒です。

マップアート完成
やっとこさ完成、いや~ここまで長かった。ボックスフレームに入れてみましょうか。

やっぱりボックスフレームに入れると見栄えが良いですな。

オーレーザーの座標位置、本当はもう少し上だったりします。

このマップアート、結構出来が良かったので、違う座標のも追加で作ってみました。

スタッフの自宅近隣なのですが、道路の密度に違いがあります。田舎度合いがバレますね。

今回はデータの作成にかなり苦戦しました。
地図の画像をトレースする際は、しきい値を調整して道路を太くするのがコツかもです。

レーザー加工は、データさえ出来てしまえば後は機械がやってくれるので、やっぱりイラレの操作に長けることが、レーザー加工における達人への近道なんでしょうね。
私もまだまだ未熟なので、もっとスマートにイラレを使いこなしたいと思っています。
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